農場HACCPは、食品の安全性を確保するための衛生管理手法であるHACCP(ハサップ)を、畜産農場での飼養衛生管理に応用したものです。 

最終的な畜産物(牛乳、食肉、鶏卵など)の安全性を高めるため、農場段階で有害物質などによる汚染リスクを低減させることを目的としています。 

主なポイントとして

  • 危害要因分析(HA): 飼料の入荷から家畜の飼育、出荷に至るまでの全工程で、どのような危害要因(ハザード)があるかを特定・分析します。
  • 重要管理点(CCP)の設定: 分析した危害要因を除去または許容できるレベルまで低減させるために、特に重要な工程(重要管理点)を定めます。
  • 記録と改善: 日々の作業を記録し、設定した基準が守られているかを監視・検 証することで、継続的な改善を図ります。
  • 対象: 乳用牛、肉用牛、豚、採卵鶏、肉用鶏などを飼育する畜産農場が対象となります。 

農場HACCPの導入は、安全な畜産物の生産に加えて、農場経営の生産性向上にもつながるとされています。日本では、農林水産省が、平成21年に「畜産農場における飼養衛生管理向上の取組認証基準(農場HACCP認証基準)」を公表しました。この認証基準に基づき、平成23年度から民間での農場HACCPの認証制度が運用されています

食品の安全は「農場から食卓まで」と言われているように、生産から、加工・流通、保存、調理・消費までのフードチェーン全体の各段階に関わっている全員が責任を持ってリスク管理を行うことが必要です。

今後も、加工(工場)はもちろん、農場から食卓までの幅広い視点で、HACCPのしくみを活用した食品安全、そして、FSSC22000、ISO22000、SQF、JFS-A/B・Cなどの食品安全マネジメントシステムのしくみに基づく継続的改善で、さらなる食品安全の高みを目指し、支援していきたいと思います。