FSSC22000のVer.6.0での追加要求事項について、「2.5.7環境モニタリング」に以下のa)とd)が追加され、微生物の環境モニタリングがより重要になっていると感じています。
<FSSC22000 追加要求事項>
2.5.7 環境モニタリング
組織は、次のものを備えていなければならない。
a) 関連する病原体、腐敗菌、指標生物に関するリスクに基づく環境モニタリングプログラム;
b) 製造環境からの汚染を防止するすべての管理手段の有効性を評価するための文書化した手順、及び、これは、少なくとも、存在する微生物学的管理の評価を含みなければならない。そして、法律および顧客の要求事項を遵守しなければならない。
c) 定期的なトレンド分析を含む環境モニタリング活動のデータ; そして
d) 環境モニタリングプログラムは、継続的な有効性と適切性について、少なくとも年 1 回、次の事象が発生した場合も含め必要に応じて、さらに多い頻度で見直さなければならない。
i. 製品、プロセス、または法律に関する重大な変更;
ii. ⾧期間の試験で陽性の試験結果が得られなかった場合;
iii. 環境モニタリングにつながる、中間製品と最終製品の両方に関連する仕様を外れた微生物学的結果の傾向;
iv. 定期的な環境モニタリングにおける病原菌の繰り返しの検出;
v. 組織によって製造された製品に関連する警告、リコール、または回収があった場合
また、要求事項ではないですが、ガイダンス文書に「環境モニタリング」が発行されており、実施にあたり参考になります。
「環境モニタリング」
https://www.fssc.com/wp-content/uploads/2023/03/Guidance-Document-Environmental-Monitoring-V6_JA.pdf
特に、どの微生物を検査対象にするか?どこをサンプリングするか?の事例が掲載され、参考になると思います。
<懸念される潜在的微生物>
病原体
・サルモネラ属菌
・リステリア・モノサイトゲネス
(湿った環境、冷たい/冷えた環境、排水溝でよく見られる)
・黄色ぶどう球菌
(食品取扱者、たとえば担当者の手など、に関連することが多い)
腐敗細菌
・酵母とカビ
(エアプレート試験)
指標細菌
・大腸菌群
・大腸菌
(汚染された水や、担当者の手など、糞便汚染が発生する可能性がある場所に関連する)
・腸内細菌科
・好気性菌数
・乳酸菌(LAB)
・リステリア属菌
・シュードモナス属
これらは一例で、懸念される微生物の特定を裏付ける十分な根拠を持つことが必要です。
環境モニタリングのサナンプリングゾーンは、衛生ゾーニング(清浄区域、準清浄区域、一般区域)とは異なることに注意が必要です。
ゾーン1:食品接触面
スライサー/ピーラー/フィラー/ホッパー/スクリーン/コンベアベルト/送風機/従業員の手/ナイフ/ラック/作業台
ゾーン2:食品接触面に近接した非食品接触面
加工機器の外装及び枠踏み/冷蔵・冷却ユニット/機器制御パネル/スイッチ類
ゾーン3:加工エリア内又はその近くに位置する、より遠隔の非食品接触面
フォークリフト/台車/カート/車輪/エアリターンカバー/ホース/壁/床/排水溝
ゾーン4:加工エリアの外側にある非食品接触面
ロッカールーム/食堂/出入り口/搬入ベイ/完成品保管エリア/メンテナンスエリア
それぞれのゾーンにおいて、いつ(洗浄前、洗浄と消毒の後、製造前、製造後)、どの頻度でサンプリングするかは、リスクよって決定すべきですが、大事なのは、サンプリングの結果をしっかりと分析し、改善につなげていくことです。
微生物の環境モニタリングの目的は、以下のものが考えられます。
1.洗浄・消毒手順の効果を判断するため
2.特定の病原微生物の存在を特定・監視するため
3.病原菌や腐敗菌の潜在的な汚染源を特定するため
4.食品工場における微生物に関する現状を確認するため
PDCAをしっかりと、速やかに回す。微生物の環境モニタリングにおいても重要なことです。
以上