先日(5月19日)、公益社団法人日本食品衛生協会主催のHACCP普及指導員向け研修、今年度第1回「Codexの食品衛生の一般原則(2020) Decision Treeの改訂作業」を受講しました。講師は、コーデックス食品衛生部会で改訂作業に従事されました山口大学共同獣医学部 豊福 肇 教授です。
重要管理点(CCP)を設定するまでのフローについて、いろいろと議論された内容から結論にいたるまでの経緯についての話で、一見簡単そうに見えて奥が深く、まさにグローバルで共通の方法(ディシジョンツリー)を結論づけるまでの苦労が感じられました。
以下が、CCP決定のワークシートの例です。(HACCP普及指導員向け研修資料から抜粋)
プロセスステップ | 重要なハザード | Q1,重要なハザードは前提条件プログラムにより、このステップで許容可能なレベルまでコントロールできるか? | Q2,このステップに、特定された重要なハザードに対する特定された管理手段が存在するか? | Q3.後にあるステップは、特定された重要なハザードを予防、排除、または許容可能なレベルまで低減できるか? | Q4.このステップは、特定された重要なハザードを明確に予防、排除、または許容可能なレベルまで低減できるか? | CCP番号 |
特定されたプロセスステップ | ハザードと原因を記述する | 「はい」の場合、このステップはCCPではない。 「いいえ」の場合、Q2に進む | 「はい」の場合、Q3に進む 「いいえ」の場合、このステップはCCPではない。後にあるステップがCCPであるはずである。 | 「はい」の場合、その後にあるステップがCCPであるはずである。 「いいえ」の場合、Q4に進む。 | 「はい」の場合、このステップはCCPである。 「いいえ」の場合、ステップ、プロセス、または製品を変更し、管理手段を実行する。 | CCP番号を振り、HACCPワークシートに含める。 |
この前提となる「重要なハザード」の判断、すなわち、ハザードの重要性(コントロールがなかった場合の起こりやすさとハザードの影響の重篤性)を適切に判断することが重要となってきます。
また、健康被害は少ないものの、ブランドに多大な影響を与える、誤表示についても、このディシジョンツリーを活用し管理することも可能ではないかと考えています。
HACCP義務化になって約1年。まだまだ普及には時間がかかると思いますが、まさに「HACCP普及指導員」として、最新の情報を収集しながら、現場・現物に即したHACCPを推進していきたいと思います。