・平成30年の1年間で、食中毒は 1,330件(患者:17,282人、死者:3人)と報告されている。(厚生労働省統計)
・食中毒と診断された人のうち、約4割は細菌、約5割はウイルスが原因。このため、細菌やウイルスによる食中毒の防止対策をきちんとすることが重要。
・ノロウイルス・・調理従事者による汚染
・カンピロバクター、腸管出血性大腸菌・・汚染された非加熱食品の摂取、食品の不十分な加熱
・サルモネラ属菌・・汚染された非加熱食品の接収、室温・高温化での食品の放置、食品の不十分な加熱
・ウエルシュ菌・・室温・高温化での食品放置、緩慢な冷却、食品の不十分な再加熱
危険温度帯10℃~60℃(有害な微生物が繁殖しやすい温度帯)→調理食品が長い時間とどまらないように注意
Hazard Analysis and Critical Control Point
危害要因 分析 重要 管理 点
1.危害要因 健康に悪影響(危害)を及ぼす要因
1)微生物・・・食中毒、腐敗
2)化学物質・・農薬、添加物
3)物理的・・・ガラス、金属片
2.重要管理点・・厳重な管理(必須)
→製造環境と製造工程の2つの側面から管理する
<アメリカ>
・1960年代の宇宙計画、アポロ計画での宇宙食の安全性確保のために開発。
・1973年低酸性缶詰にHACCPベースの衛生管理取入れ。
・2013年全ての施設にハザード分析を義務付け
<EU>
・2006年一次生産を除くすべての食品事業者にHACCP義務付け
<日本は?>
・1990年食鳥処理場におけるHACCP方式による衛生管理指針策定
・1996年「総合衛生管理製造過程」の承認がスタート
・2018年6月13日 「食品衛生法等の一部を改正する法律」(平成30年法律第46号)公布。すべての食品等事業者を対象として、HACCPに沿った衛生管理の実施を求める。
施行期日:公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日
※2021年まで現行基基準適用
①HACCPに基づく衛生管理 ②HACCPの考え方を取り入れた衛生管理
HACCP(ハサップ)7原則12手順に基づいた衛生管理
手順1:チームを作ろう
手順2:製品説明書を作ろう
手順3:用途、対象者の確認をしよう
手順4:製造工程図を作ろう
手順5:製造工程図を現場で確認しよう
手順6:危害要因の分析(HA)に挑戦 (原則1)
手順7:重要管理点(CCP)をみつける (原則2)
手順8:管理基準(CL)の設定 (原則3)
手順9:モニタリング方法の設定 (原則4)
手順10:不具合(不適合品)があった時は「改善措置」(原則5)
手順11:「検証」で適切に機能していることを確認 (原則6)
手順12:記録の文書化と保管 (原則7)
大事なのは運用でPDCAを回すこと。しくみ構築で終わらないこと。
P:①現状把握(現場・現物+工程+作業内容)(手順1~5)
②お客様に危害となる要因の洗い出し (手順6)
③危害を減らすための方策 (手順6)
④運用・管理方法の決定 (手順7~9)
⑤不具合があった場合どうするか? (手順10)
D:実行
C:記録、確認 (手順11、12)
A:検証 運用に問題ないか?
3M(Man,Machine,Material)の変更はないか? (手順11)
対象事業者<政令で規定(案)>
・小規模事業者(食品の製造、加工に従事する従業員の 総数が
50人未満とすることを検討)
・当該店舗での小売販売のみを目的とした製造・加工・調理事業者
(例:菓子の製造販売、食肉の販売、魚介類の販売、豆腐の製造販売等)
・提供する食品の種類が多く、変更頻度が頻繁な業種
(例:飲食店、給食施設、そうざいの製造、弁当の製造等)
・一般衛生管理の対応で管理が可能な業種(例:包装食品の販売、食品の保管、食品の運搬等)
各業界団体が作成する手引書(下参照)を参考に、簡略化されたアプローチのよる衛生管理を行う
衛生管理を「見える化」→自信をもってお客様に示す
①衛生管理計画を作成しましょう
今、取り組んでいる「一般的衛生管理のポイント」と重要「管理のポイント」を明確にしましょう
②①で作成した計画を実行しましょう
③実施したことを記録し、確認しましょう
<参照>
食品等事業団体が作成した業種別手引書 厚生労働省のホームページで公表しているもの(116業種)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000179028_00003.html
<一例>
【製造・加工】
・納豆の製造(全国納豆協同組合連合会)
・生麺類の製造(全国製麺共同組合連合会)
・氷雪(食用氷)の製造(日本冷凍事業協会)
・豆腐の製造(日本豆腐協会)
・食肉製品製造 ((一社)日本食肉加工協会/日本ハム・ソーセージ工業協同組合)
・即席麺の製造((一社)日本即席食品工業協会)
・魚肉練り製品の製造(全国蒲鉾水産加工業協同組合連合会)
・醤油の製造(日本醤油協会/全国醤油工業協同組合連合会/一般財団法人日本醤油技術センター)
・食酢の製造(全国食酢協会中央会)
・醤油加工品(つゆ・たれ)(日本醤油協会/全国醤油工業協同組合連合会/一般財団法人日本醤油技術センター)
・蒟蒻原料の製造(全国蒟蒻原料共同組合)
・パンの製造((一社)日本パン技術研究所/全日本パン協同組合連合会/(一社)日本パン工業会)
・とう精及び米殻の販売(日本米穀小売商業組合連合会)
・菓子の製造(全日本菓子協会/全国菓子工業組合連合会/全国和菓子協会/(一社)日本洋菓子共同連合会/協同組合全日本洋菓子工業会)
・寒天の製造(長野県寒天水産加工業協同組合/岐阜県寒天水産工業組合)
・ミネラルウォーター類製造((一社)日本ミネラルウォーター協会/(一社)日本宅配水&サーバー協会)
・認定小規模食鳥処理場((一社)日本食鳥協会)
・食品添加物の製造((一社)日本食品添加物協会)
・低温殺菌される容器詰加熱殺菌食品((公団)日本缶詰めびん詰レトルト食品協会)
・煮豆の製造(全国調理食品工業協同組合)
・乾麺の製造(全国乾麺共同組合連合会)
・ほしいもの製造(ひたちなか・東海・那珂ほしいも協議会)
・乳・乳飲料の製造((一社)日本乳業組合)
・漬物の製造(全日本漬物協同組合連合会)
・小規模なそうざい製造工場((一社)日本惣菜協会)
・米粉の製造(全国穀類工業協同組合)
・清涼飲料水の製造((一社)全国清涼飲料連合会)
・食品添加物(ガス)の製造((一社)日本食品添加物協会)
・冷凍食品の製造((一社)日本冷凍食品協会)
・いわゆる健康食品の製造((公財)日本健康・栄養食品協会)
・精麦及び大麦粉の製造(全国精麦工業協同組合連合会)
・GPセンター及び液卵製造((一社)日本卵協会)
・カレー粉及びカレールウ製造(全日本カレー工業協同組合) ・パン粉の製造(全国パン粉工業協同組合連合会)
・パン粉の製造(全国パン粉工業協同組合連合会)
【調理】
・小規模な一般飲食店((公社)日本食品衛生協協会)
・スーパーマーケットにおける調理・加工・販売((一社)全国スーパーマーケット協会)
・旅館・ホテルにおける食品の調理(全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会)
・多店舗展開する外食事業者((一社)日本フードサービス協会)
【販売】
・水産物卸売業((公財)食品等流通合理化促進機構)
・水産物仲卸業((公財)食品等流通合理化促進機構)
・水産物小売業((公財)食品等流通合理化促進機構)
【保管】
・冷蔵倉庫の管理((一社)日本冷蔵倉庫協会)
食中毒予防の3原則(有害な微生物を【つけない】【ふやさない】【やっつける】)が基本
例:一般飲食店
「一般的衛生管理のポイント」
①原材料の受入れの確認(つけない)
②冷蔵・冷凍庫の温度の確認(ふやさない)
③交差汚染、二次汚染の防止、器具等の洗浄、消毒、殺菌、トイレの洗浄、消毒)(つけない)
④従業員の健康管理・衛生的作業着の着用など、衛生的な手洗いの実施(つけない)
「重要管理のポイント」
①冷蔵・冷凍庫の温度の確認(ふやさない)
②適切な加熱(やっつける)