食品表示にも関係する『計量法』。環境計量士(濃度)でもある私から、計量法について概略の説明ができればと思います。「
計量法は、「計量の基準を定め、適正な計量の実施を確保し、もって経済の発展及び文化の向上に寄与することを目的とする」となっています。
適正な計量の実施には次のことが必要です。
(1)正確な計量器
基準に適合したものだけが取引や証明に使用されるよう規制されています。
この基準への適合を確認する検査を検定といい、検定に合格した計量器には検定証印が付されます。取引・証明には検定証印または基準適合証印がついているはかり(届出事業者が製造・販売しています)を使用しなければなりません
<検定証印>
国や都道府県が、計量器の製造・修理後に検定を行い、基準に適合していることを証明する証印です.
<基準適合証印>
経済産業大臣が指定した製造事業者が、自社で製造した計量器について、検定と同等の検査を行い、基準に適合していることを証明する証印です.
指定された事業者は、自社で検査することで、検定と同様の効力を付与することができます.
検定証印と基準適合証印は、どちらも計量器の基準適合を証明する証印であり、取引や証明に使用できる点では同じです。しかし、検定証印は公的機関が行う検定によるもので、基準適合証印は指定された事業者が自社で検定と同等の検査を行うものです
(2)適正な計量の実施
適正な計量の実施を確保するために、取引や証明に使用されている「はかり」には、性能確認のため2年ごとに検査を受検することを使用者に義務づける定期検査制度を定めています。
(3)特定商品と量目公差
商品を計量販売する際にも、正確計量の義務を定めるほか、全国的に流通する消費生活関 連物資で計量販売が浸透している商品を特定商品と定め、計量販売するときに量目公差(許容誤差)を超えて不足しないように計量することを義務づける商品量目制度を定めています。
<特定商品の原則的要件 >
ア 全国的な流通商品であること。
イ 消費生活関連物資であること。
ウ 販売者・消費者相互において、計量販売意識の強い商品であること。
エ 現実にある程度計量販売が浸透していること。
<特定商品>
計量法では量目公差はマイナス側だけにしか定められていません。 量目超過があった場合は規制の対象にはなりません。しかし、著しい量目超過は適正計量取引の観点からは問題があります。そこでこのような場合に、正確にはかる努力を規定した第10条を適用します。
すべての商品を量目公差内ぎりぎりに計量していた場合、量目公差内であれば法的には罰則の適用はありません。しかし、計量する者が意図的に公差内ぎりぎりに計量しているような場合は、正確に計量する義務を怠っているとして、第10条を適用します。
<計量法 第10条(正確にはかる努力)>
商品をはかって量目で販売する者は、正確にその量目をはかるように努めること。 都道府県知事又は特定市町村の長は、適正な計量の実施の確保に 著しい支障を生じていると認める時は、必要な措置をとるべきことを勧告することができ、勧告に従わなかったときは公表することができる。
<参考>
(1)特殊容器
液体商品毎に定められた一定の高さ 以上に液体を満たすと一定の内容量が確保できるものです。付されている「特殊容器の表示」の形状から「丸正(まるしょう)びん 」と通称で呼ばれています。「特殊容器」は、下記の商品に限りその使用が認められています。
特殊容器の使⽤が認められている商品(計量法施⾏令第8条)
1 ⽜乳(脱脂乳を除く。)、加⼯乳及び乳飲料 2乳酸菌飲料 3 ウスターソース類 4 しょうゆ 5 ⾷酢 6 飲料⽔ 7 発泡性の清涼飲料 8 果実飲料 9 ⽜乳⼜は乳製品から造られた酸性飲料 10 みりん(酒類に該当するものを除く。) 11 酒類(清酒、合成 清酒、連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎、みりん、ビール 、果実 酒、⽢味果実酒、ウイスキー、ブランデー、原料⽤アルコール、発泡酒その他の醸造酒(第三のビール等)、スピリッツ、リキュール(第三のビール)、雑種、ただし粉末酒を除く) 12 液状の農薬
(2)重量選別機
計量制度の改正により、重量選別機が特定計量器に追加されました。
重量選別機を取引または証明に使用している場合は、原則として指定検定機関による検定(技術基準を満たしているかの検証)を受検することが義務化されます。
新規に導入される重量選別機だけでなく、既に生産現場でお使いの機器も対象となります。
<「取引または証明」とは︖>
商品を重量選別機で計量し、その結果が契約の条件に含まれる場合や、質量値を商品に表示するために計量を行う場合も、「取引または証明」に該当します。
一方、計量の結果が外部に表明されず、自社の製造工程の管理(原材料の配合、工程上の計量管理など)を目的に行われる計量については、「取引または証明」には該当しません。また、製品の内容個数の欠品チェックを目的とした重量選別機の利用についても該当しません。また、ホッパースケールや充填用自動はかりなど、同じ生産ラインに複数台の自動はかりがある場合には、検定の受検はそのうちの1台でよいとされています。
2024年4月1日以降から(新規に)取引または証明に使用する場合は、型式承認機での
受検が必要となります。それ以前に取引または証明に使用している機器については、2027年3月31日までに検定に合格してください。4月1日から同目的で使用するためには検定に合格していることが必要となりますのでご注意ください。
以上