HACCPによる衛生管理は、各原料の受入から製造、製品の出荷までのすべての工程において、食中毒などの健康被害を引き起こす可能性のある危害要因(ハザード)を科学的根拠に基づき管理する方法です。

危害要因(ハザード)は生物的(病原微生物など)、化学的(残留農薬、抗生物質、洗浄剤・消毒剤等)、物理的(金属片、ガラス片等)に分けて、各工程もれなく取り上げ、これらを低減・除去するために必要な管理方法を定めます。

このように、基本的には、健康被害を引き起こす可能性のある危害要因を取り上げ管理する方法ですが、食品会社にとって、虫の混入、調合・配合間違いによる香味の違い、アレルゲン表示、消費期限表示などの健康被害を及ぼす誤表示を除いた表示違反など、健康被害を引き起こさなくても、回収や消費者の信頼を損なう結果を引き起こしてしまいます。

これらの要因について、【生物的】、【化学的】、【物理的】の3つの危害要因に加え、【ブランド】という切り口で要因を挙げ分析をすることも効果的と思っております。(もちろん、健康被害を引き起こす危害要因の抽出が優先ですが。)

ブランドであげられたハザードのコントロールは、すべて前提条件プログラムで管理することになると思いますが、要因を挙げることが重要で、その要因を従業員で共有し、管理の方法の検討・見直し、従業員の教育訓練・意識の向上につなげればと思っております。

HACCPの予防的分析手法をうまく利用し、安全面に加え、品質、ブランドについても活用することで、食の安全・おいしさにつながることを期待したいです。

                  <危害要因分析一例>

工程ハザード特定ハザードの発生要因管理手段の選択
調合【生物的】病原微生物による汚染
【化学的】アレルギー物質の混入
【物理的】金属異物の混入
【ブランド】計量ミス
      虫の混入
原料由来
洗浄不良
原料由来
人的ミス
環境からの混入
後工程の殺菌工程で管理
洗浄手順で管理
後工程の金属探知機で管理
調合手順で管理
防虫防鼠管理
ラベル印刷【生物的】なし
【化学的】なし
【物理的】なし
【ブランド】誤表示



印刷ミス



チェック表で管理