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食品工場経験を活かし5Sを基本にHACCP導入を親身に支援します

カテゴリー: HACCP

HACCP導入支援と「作業環境」

暑くなってきました。FSSC22000及びISO22000において「作業環境」についての要求事項がありますが、労働安全衛生法においても、事業者は労働者の熱中症を予防するために必要な措置を講じる義務があります。2025年6月1日からは、改正労働安全衛生規則が施行され、熱中症対策が義務化されました。具体的には、暑さ指数(WBGT)28℃以上または気温31℃以上の環境下で、連続1時間以上または1日4時間以上の作業を行う場合、事業者は熱中症対策を講じる必要があります。

<事業者が講じるべき主な熱中症対策>:

作業環境の管理:

・作業場所の気温、湿度、輻射熱などを把握し、WBGTを測定する

・冷房や扇風機で温度を調整し、風通しを良くする

・直射日光を遮る設備を設ける

・適度な休憩場所を設ける

・休憩場所には、冷房や扇風機、冷たい飲み物、冷房の効いた休憩場所などを設ける

作業管理:

・作業時間や作業強度を調整する

・休憩時間を確保する

・複数人で作業する場合は、お互いの健康状態に気を配る

・労働者の健康管理:

・作業開始前に健康状態を確認する

・作業中は巡視を行い、体調の変化に気づいたら声をかける

・熱中症の症状が出た場合の対応手順を周知する

・水分と塩分をこまめに補給する

・熱中症に関する知識を習得させる

その他:

・WBGT基準値を超える場所での作業は原則避ける

・熱中症で倒れた場合の緊急連絡体制を整備する

・医療機関への搬送体制を整備する

熱中症対策を怠った場合の罰則:

労働安全衛生法違反として、6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります

食品安全において作業環境はとても大事ですが、従業員の皆様が熱中症にならないよう最大限の配慮をすることが最優先です。食品会社は、加熱等で熱源を使用する工場が多く、

閉め切った部屋もあり、厳しい作業環境のところがあります。無理をせず、お互いに声掛けをしながら、健康第一でこの夏を乗り切っていきましょう!

厚生労働省 群馬労働局 労働基準部 健康安全課

https://jsite.mhlw.go.jp/gunma-roudoukyoku/content/contents/002265214.pdf

HACCP導入支援と「食品製造用水」

<食品製造用水>

食品製造に使用する水は、原材料の一つとも言えます。その衛生性は、製造する食品の安全性や衛生性に直結しますので、始業前に水質を確認するなど、適切な管理が必要です。

食品の製造に用いる水は「食品製造用水」(かつての「飲用適の水」)でなければなりません。規格基準が決められています(一般細菌、大腸菌群、水銀など26項目)。

水道水以外の水を用いる場合(井戸水等)には、定期的な(1回/年以上)専門業者による検査とともに、色や臭いなどに異常がないこと、遊離残留塩素濃度が0.1 ppm以上であることを、都度確認する必要があります。水道水であっても、水の味や臭いおよび配管の劣化によるサビの発生が製品に影響する場合には、確認してから使用しましょう。水の試料の採取箇所は使用する場所ごととするか、一番末端とすると、使用水全体を評価することができます。また自治体や水道局のホームページには水質検査結果が載っていますので、水道水であっても定期的に確認しましょう。

食品製造用水とは

食品,添加物等の規格基準(昭和34年厚告第370号)の第1食品B食品一般の製造,加工及び調理基準(平成26年厚告第482号による改正)

水道法(昭和32年法律第177号)第3条第2項に規定する水道事業の用に供する水道,同条第6項に規定する専用水道 若しくは同条第7項に規定する簡易専用水道により供給される水又は次の表の第1欄に掲げる事項につき同表の第2欄に 掲げる規格に適合する水をいう。

 検査項目基準値試料量(mL)
1  一般細菌 100以下/mL200
2  大腸菌群 検出されないこと
3  カドミウム 0.01mg/L以下300☆
4  水銀 0.0005mg/L以下100
5  鉛 0.1mg/L以下300☆
6  ヒ素 0.05mg/L以下200
7  六価クロム 0.05mg/L以下300☆
8  シアン(シアンイオン及び塩化シアン) 0.01mg/L以下200
9  硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素 10mg/L以下200★
10  フッ素 0.8mg/L以下
11  有機リン 0.1mg/L以下1000
12  亜鉛 1.0mg/L以下300☆
13  鉄 0.3mg/L以下
14  銅 1.0mg/L以下
15  マンガン 0.3mg/L以下
16  塩素イオン 200mg/L以下200★
17  カルシウム,マグネシウム等(硬度) 300mg/L以下200
18  蒸発残留物 500mg/L以下500
19  陰イオン界面活性剤 0.5mg/L以下200
20  フェノール類 フェノールとして0.005mg/L以下200
21  有機物等(過マンガン酸カリウム消費量)        10mg/L以下200
22  pH値 5.8以上8.6以下200
23  味 異常でないこと200
24  臭気 異常でないこと
25  色度 5度以下200
26  濁度 2度以下

全項目(26項目) サンプル量 2L以上

                                                 以上

HACCP導入支援と「計量法」

食品表示にも関係する『計量法』。環境計量士(濃度)でもある私から、計量法について概略の説明ができればと思います。「

計量法は、「計量の基準を定め、適正な計量の実施を確保し、もって経済の発展及び文化の向上に寄与することを目的とする」となっています。

適正な計量の実施には次のことが必要です。

(1)正確な計量器

基準に適合したものだけが取引や証明に使用されるよう規制されています。

この基準への適合を確認する検査を検定といい、検定に合格した計量器には検定証印が付されます。取引・証明には検定証印または基準適合証印がついているはかり(届出事業者が製造・販売しています)を使用しなければなりません            

<検定証印>

国や都道府県が、計量器の製造・修理後に検定を行い、基準に適合していることを証明する証印です.

<基準適合証印>

経済産業大臣が指定した製造事業者が、自社で製造した計量器について、検定と同等の検査を行い、基準に適合していることを証明する証印です.

指定された事業者は、自社で検査することで、検定と同様の効力を付与することができます.

検定証印と基準適合証印は、どちらも計量器の基準適合を証明する証印であり、取引や証明に使用できる点では同じです。しかし、検定証印は公的機関が行う検定によるもので、基準適合証印は指定された事業者が自社で検定と同等の検査を行うものです

(2)適正な計量の実施

適正な計量の実施を確保するために、取引や証明に使用されている「はかり」には、性能確認のため2年ごとに検査を受検することを使用者に義務づける定期検査制度を定めています。

(3)特定商品と量目公差

商品を計量販売する際にも、正確計量の義務を定めるほか、全国的に流通する消費生活関 連物資で計量販売が浸透している商品を特定商品と定め、計量販売するときに量目公差(許容誤差)を超えて不足しないように計量することを義務づける商品量目制度を定めています。

<特定商品の原則的要件 > 

ア 全国的な流通商品であること。

イ 消費生活関連物資であること。

ウ 販売者・消費者相互において、計量販売意識の強い商品であること。

エ 現実にある程度計量販売が浸透していること。

 <特定商品>

      

計量法では量目公差はマイナス側だけにしか定められていません。 量目超過があった場合は規制の対象にはなりません。しかし、著しい量目超過は適正計量取引の観点からは問題があります。そこでこのような場合に、正確にはかる努力を規定した第10条を適用します。

すべての商品を量目公差内ぎりぎりに計量していた場合、量目公差内であれば法的には罰則の適用はありません。しかし、計量する者が意図的に公差内ぎりぎりに計量しているような場合は、正確に計量する義務を怠っているとして、第10条を適用します。

<計量法 第10条(正確にはかる努力)>

 商品をはかって量目で販売する者は、正確にその量目をはかるように努めること。 都道府県知事又は特定市町村の長は、適正な計量の実施の確保に 著しい支障を生じていると認める時は、必要な措置をとるべきことを勧告することができ、勧告に従わなかったときは公表することができる。

<参考>

(1)特殊容器

液体商品毎に定められた一定の高さ 以上に液体を満たすと一定の内容量が確保できるものです。付されている「特殊容器の表示」の形状から「丸正(まるしょう)びん 」と通称で呼ばれています。「特殊容器」は、下記の商品に限りその使用が認められています。

特殊容器の使⽤が認められている商品(計量法施⾏令第8条)

 1 ⽜乳(脱脂乳を除く。)、加⼯乳及び乳飲料 2乳酸菌飲料 3 ウスターソース類 4 しょうゆ 5 ⾷酢 6 飲料⽔ 7 発泡性の清涼飲料 8 果実飲料 9 ⽜乳⼜は乳製品から造られた酸性飲料 10 みりん(酒類に該当するものを除く。) 11 酒類(清酒、合成 清酒、連続式蒸留焼酎、単式蒸留焼酎、みりん、ビール 、果実 酒、⽢味果実酒、ウイスキー、ブランデー、原料⽤アルコール、発泡酒その他の醸造酒(第三のビール等)、スピリッツ、リキュール(第三のビール)、雑種、ただし粉末酒を除く) 12 液状の農薬

(2)重量選別機

計量制度の改正により、重量選別機が特定計量器に追加されました。

重量選別機を取引または証明に使用している場合は、原則として指定検定機関による検定(技術基準を満たしているかの検証)を受検することが義務化されます。

新規に導入される重量選別機だけでなく、既に生産現場でお使いの機器も対象となります。

<「取引または証明」とは︖>

商品を重量選別機で計量し、その結果が契約の条件に含まれる場合や、質量値を商品に表示するために計量を行う場合も、「取引または証明」に該当します。

一方、計量の結果が外部に表明されず、自社の製造工程の管理(原材料の配合、工程上の計量管理など)を目的に行われる計量については、「取引または証明」には該当しません。また、製品の内容個数の欠品チェックを目的とした重量選別機の利用についても該当しません。また、ホッパースケールや充填用自動はかりなど、同じ生産ラインに複数台の自動はかりがある場合には、検定の受検はそのうちの1台でよいとされています。

2024年4月1日以降から(新規に)取引または証明に使用する場合は、型式承認機での

受検が必要となります。それ以前に取引または証明に使用している機器については、2027年3月31日までに検定に合格してください。4月1日から同目的で使用するためには検定に合格していることが必要となりますのでご注意ください。

                                                  以上

HACCP導入支援と「感染性胃腸炎」

今年は例年に比べ多くのノロウイルス等による感染性胃腸炎が流行しています。東京都の情報によると、飲食店や仕出し弁当以外にも、施設別では保育所と社会福祉施設で多くなっております。 

<東京都感染症情報センター>

https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/gastro/gastro

東京医科大学客員教授濱田先生によると、今年流行している原因として以下を挙げられています。

  • 新しいタイプ(遺伝子型17など)のノロウイルスが増えている
  • 今シーズンは2月、3月と寒い日々が続いており、ウイルスが生存しやすい環境になっている
  • コロナ対策(手洗い強化、マスク着用等)でノロウイルスの感染が減ったため、ノロウイルスの免疫が低下した

<ノロウイルスの流行が拡大中 ~なぜ今シーズン増えているのか?~【東京医科大客員教授・濱田篤郎】>

https://news.yahoo.co.jp/articles/ae8d2e723f0ca430c18933b7d1525b16b2e0aea2

 感染予防の対策として手洗いの強化はもちろんですが、木村凡先生のコラムによると

手洗いだけでは不十分で、従業員が頻繁に触れる「休憩室」「更衣室」「トイレ」「食堂」「タイムカード機器」などの共用部分に注目することが大切とのことです。

< 木村 凡手洗いだけでは不十分?:空港のノロウイルス対策に学ぶ感染防止のポイント>

手洗いだけでは不十分?:空港のノロウイルス対策に学ぶ感染防止のポイント | 食品微生物学(検査と制御方法)|基礎と最新情報を解説|木村 凡

 今一度、手洗い、健康チャック等の基本的な衛生管理に加え、施設・工場内の共用部分の衛生管理を見直し、ノロウイルスに限らず絶対に食中毒を出さないよう予防的取組みを強化していきましょう!

                                  以上

HACCP導入支援と『EXPO2025大阪・関西万博』

EXPO2025大阪・関西万博が4月13日に開幕します。いろいろなキャンペーンで「チケットが当たる!」に応募していますが、未だに反応なし(涙)。そんな中、産経新聞に、食品提供や空気環境などを衛生面で監視・指導する「会場衛生監視センター」が2月3日、会場予定地の人工島・夢洲(ゆめしま)(大阪市此花区)に開設され、万博を運営する日本国際博覧会協会が設置し、市保健所が運営。大阪府職員を含む計11人態勢で業務を開始したと報道されました。

センターでは万博開幕まで、会場内で飲食店の出店を計画する食品関係者らを対象に、衛生面での相談に応じ、営業許可業務を実施。会期中は食中毒予防のため各飲食店の食品衛生の取り組みを監視・指導するほか、パビリオンなどの施設内では空気環境測定、水道や噴水などの水質検査も行い、細菌検査室で、食中毒の疑いがある事例が発生した場合などには簡易的な検査も実施できるそうです。

以下の参考資料①、②にも、『HACCPに沿った衛生管理等の運用状況について、事業者が作成した衛生管理計画や衛生管理の実施状況の記録等を確認し、必要な指導及び助言を行う。』と、当然、HACCPに沿った衛生管理が求められています。

<参考資料①>2025 年日本国際博覧会の会場内における食品衛生対策監視指導マニュアル

https://www.city.osaka.lg.jp/kenko/cmsfiles/contents/0000632/632212/05kaijyounaishokuhinn.pdf

<参考資料②>2025 年日本国際博覧会における会場衛生実施計画

https://www.expo2025.or.jp/wp/wp-content/uploads/eisei_jissikeikaku.pdf

また、農産物の調達基準についても、以下の参考資料③に、GAP、有機JAS、ノウフクJAS、食品ロスなどに配慮したものが求められています。

<参考資料③>持続可能性に配慮した調達コード(第3版) 解説<個別基準:農産物>

https://www.expo2025.or.jp/wp/wp-content/themes/expo2025orjp_2023/assets/pdf/sustainability/sus_code_docs_08.pdf

不特定多数の方が大勢来られる会場全体の衛生管理。食品関係事業者様一人ひとりが食品衛生の意識を高く持って、会場に訪れたすべての方々が、安全に安心して過ごせることを前提に、博覧会の成功を祈っています。

HACCP導入支援と「車の安全運転」

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

年末年始、私は、実家の岐阜県大垣市に車で帰省しました。

その時に、ふっと思いついたこと、車の安全運転と食品の安全製造とは共通点が多いということです。

食品安全での一般的な管理(一般的な衛生管理)は、運転以外ですべきことに該当し、車の整備・点検、交通ルール・道路標識整備、健康管理、アルコールチェック、教育訓練(啓蒙活動)が考えられます。

また、食品安全の危害要因分析と重要管理点(HACCP)は運転中に特に気を付けること、

よく言われることに、「かもしれない運転」と「だろう運転」で、まさに、「かもしれない運転」が危害要因分析をすることにあてはまると思います。

重要管理点としては、交差点(信号、一旦停止、右折車等々)、夜間・雨の走行時の歩行者・バイク等があてはまると思います。

さらに記録は、最近増えているドライブレコーダーで、まさに、何かあった時に自分が正しいことを証明、事故の原因解析、自分の運転状況振り返りにとても有効です。

 今年も、クライアント様に行くときに、車の安全運転を遵守しながら、クライアント様の食品安全をHACCPという手法を活用しながら精一杯取り組んでいきたいと思います。

 皆様も健康安全第一で、そして、食の安全・おいしさで健やかでさらなる上質の日常を過ごしていきましょう!

<参考>

「かもしれない運転」とは、事故を未然に防ぐために、常に危険を想定しながら運転する運転方法です。「かもしれない運転」では、次のようなことを意識します。

・物陰から人が飛び出してくるかもしれない

・前方を走行する車が突然停まるかもしれない

・交差点で右折する際に対向車がスピードを上げてくるかもしれない

・路地から出てこようとしているクルマは、こちらを認識できていないかもしれない

「かもしれない運転」は、危険を予測することで、危険な状況に陥ったときに適切な対応ができるようになります。また、危険を予測することで、自然と慎重な運転になり、安全運転の習慣が身につきます。

一方、「だろう運転」とは、自分都合よく交通状況を判断して、起こり得る危険を予測しない運転です。「いつも通る道だから」「これまで大丈夫だったから」と、危険な目に遭わずに日々通行しているような道でこそ起きやすいと言えます。

HACCP導入支援と「歓喜の歌」

今年も早いものであと僅かとなりました。

今年は、4月に目を患い(網膜剥離)、一時は、コンサル業務もあきらめざるを得ないとこまで追い詰められましたが、名医の執刀、そして周りの皆様の励ましで、引き続きコンサルを続けることができています。改めて感謝申し上げますと共に健康の重要性を再認識した次第です。また、一時、クライアント様にご迷惑をお掛けしましたことを心から詫び申し上げます。

その後も、夜の運転が厳しくなったことより、今年の高崎第九合唱団の練習に通うことができず参加できなかったことが残念ですが、今住んでいます太田市が、来年合併20周年を迎え、その記念行事の一環として3000人の第九コンサートが3月に開催予定で、その昼の練習に今励んでいます。

https://www.city.ota.gunma.jp/site/20th-ota/1034945.html#schedule

また、先週10日(火)は、「ぐんま6次産業化等イノベーションチャレンジ塾~品質・衛生管理~2024」https://www.pref.gunma.jp/page/100937.htmlの講師役も終了しました。

今年は、食品安全マネジメントシステムであるFSSC22000のVer6.0への対応、さらにSQF、JFS-Bのしくみ構築に加え、医薬品卸事業者様のISO9001認証取得支援と私にとってもとても充実した取組みとなりました。

食品事業者様の業種では、菓子製造業、乳処理業、乳製品製造業、アイスクリーム類製造業、農産保存食料品製造業、食肉製品製造業、惣菜製造業、麺製造業(乾めん、生めん、茹めん)、(クラフト)ビール製造業等に携わらせていただきました。

今後も、有機JAS審査員補、JGAP/ASIAGAP指導員と合わせ、食の安全は「農場から食卓まで」を幅広く実践していきたいと思います。まだまだ一部の業種での経験ですが、今後も、食の安全・おいしさに携われることに幸せを感じております。私に声を掛けていただくことがうれしく、また、目標が達成できたと喜んでいただけること、それが消費者の皆様の食の豊かさにつながっていることに喜びを感じています。

 来年も少しでも多くの皆様にお役に立てますよう自分自身を磨き続けていきます。引き続きよろしくお願いいたします。

 皆様、良いお年をお迎えください。

HACCP導入支援と「リステリア・モノサイトゲネス」

寒くなってきました。この季節になると「ノロウイルス」による食中毒に注意で、食べ物、人から人への感染に気を付けなければなりません。基本は手洗いと加熱(85~90℃、90秒間以上)、そして消毒(次亜塩素酸ナトリウム200ppm)です。

そして、今回は、寒くても低温に強い「リステリア・モノサイトゲネス(LM)」について、食品安全委員会の資料をもとに触れたいと思います。

LMは、他の多くの食中毒原因菌と異なり、食品を4℃以下の冷蔵庫で保存していても、一部でも汚染されていれば、菌が増殖することがあります。

食中毒の一種であるリステリア症とは、LMに汚染された食品を介して感染します。

健康な人であれば、汚染菌数が少ない場合、感染しても症状が出ないことが多いのですが、高齢者を含め免疫力の低下している人では発症のリスクが高まります。発症すると、初期にはインフルエンザのような発熱や嘔吐、頭痛などの症状、重症になると髄膜炎や敗血症を引き起こし、意識障害やけいれんが起こることもあります。また、妊娠中の人は感染しやすく、早産や流産の原因になったり、胎児に影響が出たりする例も見られます。

日本では、欧米に比べリステリア症の発症や、食品のリステリア汚染は少ないといわれてきました。 しかし、2012 年の厚生労働省の調査 (JANIS =院内感染対策サーベイランス)では、日本での年間当たりの患者数は約200人と推定されており、実際には欧米と同様に、特に65 歳以上の高齢者を中心にリステリア症が発生していることがわかってきています。   

食品安全委員会の評価によると、調理済み食品(RTE) 食品において喫食時点で汚染菌数が 10,000CFU/ g 以下の場合、免疫力が低下していない健康な人であれば、発症リスクは極めて低いレベルにあると考えられました。推定患者数が200人であることを踏まえると、この汚染菌数を超えて著しくLMが増殖した食品の喫食により、患者が発生していると考えられました。よって、非常に高い菌数で汚染された食品の発生比率を抑えることが必要と考えられました。

(*RTE 食品 :消費者が購入後に加熱調理をしないで食べる食品(Ready-to-eat foods)のこと。非加熱喫食食品とも呼ばれる。チーズ、燻製品、サラダ、 生ハムなど。)

LM は低温で増殖可能なことに加え、環境中に広く存在しています。 よって、RTE 食品中のLM 汚染率を下げるため、製造環境での対策としての一般的衛生管理やその効果の検証のための製造環境中のモニタリングを行うことが重要です。

LM以外にもHACCPも含めた「予防的な対策」と環境モニタリングも含めた「検証」で「PDCA」を回していき、食中毒を発生しないよう支援していきたいと思います。

HACCP導入支援と「微生物の環境モニタリング」

FSSC22000のVer.6.0での追加要求事項について、「2.5.7環境モニタリング」に以下のa)とd)が追加され、微生物の環境モニタリングがより重要になっていると感じています。

<FSSC22000 追加要求事項>

2.5.7 環境モニタリング

組織は、次のものを備えていなければならない。

a) 関連する病原体、腐敗菌、指標生物に関するリスクに基づく環境モニタリングプログラム;

b) 製造環境からの汚染を防止するすべての管理手段の有効性を評価するための文書化した手順、及び、これは、少なくとも、存在する微生物学的管理の評価を含みなければならない。そして、法律および顧客の要求事項を遵守しなければならない。

c) 定期的なトレンド分析を含む環境モニタリング活動のデータ; そして

d) 環境モニタリングプログラムは、継続的な有効性と適切性について、少なくとも年 1 回、次の事象が発生した場合も含め必要に応じて、さらに多い頻度で見直さなければならない。

i. 製品、プロセス、または法律に関する重大な変更;

ii. ⾧期間の試験で陽性の試験結果が得られなかった場合;

iii. 環境モニタリングにつながる、中間製品と最終製品の両方に関連する仕様を外れた微生物学的結果の傾向;

iv. 定期的な環境モニタリングにおける病原菌の繰り返しの検出;

v. 組織によって製造された製品に関連する警告、リコール、または回収があった場合

 また、要求事項ではないですが、ガイダンス文書に「環境モニタリング」が発行されており、実施にあたり参考になります。

「環境モニタリング」

https://www.fssc.com/wp-content/uploads/2023/03/Guidance-Document-Environmental-Monitoring-V6_JA.pdf

 特に、どの微生物を検査対象にするか?どこをサンプリングするか?の事例が掲載され、参考になると思います。

 <懸念される潜在的微生物>

  病原体

   ・サルモネラ属菌

   ・リステリア・モノサイトゲネス

(湿った環境、冷たい/冷えた環境、排水溝でよく見られる)

   ・黄色ぶどう球菌

      (食品取扱者、たとえば担当者の手など、に関連することが多い)

  腐敗細菌

   ・酵母とカビ

     (エアプレート試験)

  指標細菌

   ・大腸菌群

   ・大腸菌

     (汚染された水や、担当者の手など、糞便汚染が発生する可能性がある場所に関連する)

   ・腸内細菌科

   ・好気性菌数

   ・乳酸菌(LAB)

   ・リステリア属菌

   ・シュードモナス属

  

  これらは一例で、懸念される微生物の特定を裏付ける十分な根拠を持つことが必要です。

 環境モニタリングのサナンプリングゾーンは、衛生ゾーニング(清浄区域、準清浄区域、一般区域)とは異なることに注意が必要です。

 

ゾーン1:食品接触面

      スライサー/ピーラー/フィラー/ホッパー/スクリーン/コンベアベルト/送風機/従業員の手/ナイフ/ラック/作業台

ゾーン2:食品接触面に近接した非食品接触面

      加工機器の外装及び枠踏み/冷蔵・冷却ユニット/機器制御パネル/スイッチ類

ゾーン3:加工エリア内又はその近くに位置する、より遠隔の非食品接触面

      フォークリフト/台車/カート/車輪/エアリターンカバー/ホース/壁/床/排水溝

ゾーン4:加工エリアの外側にある非食品接触面

      ロッカールーム/食堂/出入り口/搬入ベイ/完成品保管エリア/メンテナンスエリア

 それぞれのゾーンにおいて、いつ(洗浄前、洗浄と消毒の後、製造前、製造後)、どの頻度でサンプリングするかは、リスクよって決定すべきですが、大事なのは、サンプリングの結果をしっかりと分析し、改善につなげていくことです。

微生物の環境モニタリングの目的は、以下のものが考えられます。

1.洗浄・消毒手順の効果を判断するため

2.特定の病原微生物の存在を特定・監視するため

3.病原菌や腐敗菌の潜在的な汚染源を特定するため

4.食品工場における微生物に関する現状を確認するため

 PDCAをしっかりと、速やかに回す。微生物の環境モニタリングにおいても重要なことです。

                                   以上

HACCP導入支援と「ISO9001」、「ひとづくり・しくみづくり」

 現在いくつかの企業様の「FSSC22000」認証取得の支援をさせていただいておりますが、この度「ISO9001」認証取得を支援させていただく機会に恵まれ、現役時代に取り組んできました知識・経験、そして改めて2日間の「ISO9001内部監査員養成コース」も受講して新たに得られた気づきも含めながら、しくみとしてうまく構築できるよう微力ですが取り組んでいます。

 FSSC22000要求事項の一つでありますISO22000もISO9001をベースに構築されていて、「リスクと機会」、「方針・目標」、「PDCAサイクル」という考え方は同じで、FSSC22000認証取得に向けても、自信を持って支援できることにつながっています。

 何事も基本が大事。そして、支援にあたっては、「ひとづくり」と「しくみづくり」を基本に力を入れ取り組んでいます。

 新たな出会いを大切に、そして、少しでも多くの方々の成長につながるよう、そしてそれが企業の発展につながることを信じ、自分磨きを続けながら、引き続き全力で支援していきたいと思います。